経産牛を知っていますか?
出産を経験した牛、特に乳牛のことを指します。
そんな中、近年の赤身肉ブームでひそかに注目を浴びているのが経産牛なのです。
一般的には霜降りの和牛、国産牛が安心・安全で美味しいと言われていますが、本当にそうでしょうか?
サシが多い=霜降りほど和牛はおいしい!ということに疑問を感じた兵庫県美方郡にある田中畜産のこだわり、経産牛の美味しさについて紹介します。
和牛が食べている飼料は輸入品!?
和牛は霜降り(サシが多い)ほど、体が大きいほど高く売れます。
それは肉の値段が「重さ」×「単価」で計算されるからです。
そのため牛の生産者は、サシが多く体が大きい牛に育てるために、濃厚飼料と呼ばれるトウモロコシや大麦などのたんぱく質や炭水化物、脂肪がたくさん含まれるエサを与えます。
しかし、費用のことを考えると仕方がないとはいえ、その飼料のほとんどが輸入品というのが現実です。
日本生まれ、日本育ちの和牛、しかし食べているものは外国産
このことに疑問を感じませんか?
私もこのことを知った時には、スーパーで和牛や国産牛にこだわって買い物をしていた浅はかな自分の考えを改めることになりました。
但馬牛の繁殖農家、田中畜産
兵庫県美方郡にある田中畜産は、但馬牛の繁殖農家です。
繁殖農家ということは子牛を出荷する生産者です。
子牛がいるということは、当然ですが母牛もいます。これが経産牛です。
田中畜産のお肉は違う
和牛と聞いてイメージするのは、霜降りの入ったお肉かもしれません。
しかし、田中畜産の和牛は違います。
少しサシの入った赤身肉なのです。
それは輸入品の濃厚飼料を与えて牛を育てているのではなく、放牧して育てているからです。
牛は草食動物なので、穀物で無理に太らせるのではなく、自生している草を自由に食べて育てる方が健康的なのは言うまでもありません。
だから霜降りでなくても味が濃厚、風味が豊かで美味しいのです。
現実は・・・。
しかし、霜降り(サシが多い)ほど、体が大きいほど高く売れるので、濃厚飼料を与えて牛を育てることを否定できないのが現実です。
霜降りにするために濃厚飼料を多く与えて出荷する。
当然と言われれば、当然のことかもしれません・・・。
経産牛は通常どのように育てられるか?
母牛(経産牛)はいつまでも子牛を授かるわけではなく、約10年でその役目を終えます。
通常であれば、子どもを産んだ「経産牛」は、廃用肉とされて出荷されミンチや加工品として流通します。
経産牛は未経産牛に比べ品質が劣る
これまでの常識ではその言われていました。
しかし、近年の赤身肉ブームもあって経産牛が注目されるようになっており、経産牛が未経産牛よりもおいしいと言われるようにまでなっています。
特に田中畜産では、役目を終えた経産牛の残りの半年間の人生を自由に過ごしてほしい、と考えて放牧し、食べたい草を食べさせているのです。
だから田中畜産の経産牛は美味しいのです。
経産牛は未経産牛よりはるかに美味しい!
経産牛は未経産牛に比べて、
風味が深い
肉の味が濃い
脂が上質
何度か食べ比べをしてきた私の正直な感想です。
これまで経産牛は、同じ和牛であっても肉質や肉色が高級和牛には及ばないという理由から、あまり一般には流通していませんでした。
しかし経産牛も、半年程度再飼育されることにより肉質が改善されます。
また、そのお肉は一般の肉用牛よりも風味や旨みがありとてもおいしいのです。
子牛を生んだパワーをそのまま感じられるような味わいとでも言っておきましょう。
まとめ
私は、霜降り重視の頃に濃厚飼料を多く与えていた農家が、近年は牧草などの繊維質の多い飼料を与えるようになったという記事を目にしたことがあります。
今後は和牛、国産牛というブランドだけでなく、
何を食べて育てられたか
どのように育てられたか
という点に注目して、お肉を選ぶ日が来るのもそう遠くは無いような気がします。
また、これまで経産牛は、品質が劣ると考えられ、あまり注目されていませんでしたが今は違います。
経産牛を食べたことがないという人は、この機会に経産牛の美味しさを体感して下さい。
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