今年も暑い夏がやってきます。
そんな暑い夏に注意しなくてはならないのは、ずばり熱中症。
熱中症とは、気温が高い環境に置かれた人間の健康上の不調の総称です。
たくさん汗をかいたり体温が上がったり、ひどくなってくると頭痛や筋肉痛、身体がだるいといった症状、重症になると意識障害やけいれんが出てきます。
部屋の中にいても熱中症にかかることがある、という情報はすでに常識になってきました。
そんな熱中症を予防するには、水分補給が大事です。
これもすでに常識のことでしょうが、では、どんなものを飲むといちばん予防効果が高いか、みなさんはご存知ですか?
そしてうっすら耳にしたことがある、という方も多いだろう「経口補水液(けいこうほすいえき)」。
自宅でつくることもできるんです。
きょうは熱中症予防の飲み物と「経口補水液」について調べてみました。
厚生労働省のホームページを見て調べた、そのレシピをご紹介します!
それは、
水1リットル
食塩1~2g
砂糖大さじ2~4杯(20~40g)
です。
熱中症だけでなく、風邪やインフルエンザで水分補給が必要な時も効果を発揮します。
ここからは少し難しい水分補給の科学について紹介します。
水分補給の科学
夏の水分補給というと、わたしが子どものころはやはり「麦茶」がその代表選手でした。
麦茶が夏の水分補給に適していると考えられたことにも、ある程度の科学的な根拠があります。
それよりも最適なものとして「スポーツドリンク」、さらには「経口補水液」が登場してきた、ということになります。
まずはそのあたり、「水分補給の科学」について見てみたいと思います。
水が足らないのだから「水」を飲めばよいのではないのか、
という単純な話から考えてみます。
汗を大量にかくなどして身体から水分が失われたとき、その水分を補給する。
これはどういうことなのでしょう。
水を口に含んでごくごくのどを鳴らして……それでOK??
食道を通って胃袋へと、この道筋はまだ、身体にとっては「外」です!
通常、水分の体内への吸収の役割をしているのは「大腸」です。
ここではじめて身体の中に取り入れられた水が血液に混ざって身体じゅうに巡っていくのです。
ところが、暑い盛りに「夏バテ」の状態では、お腹を壊している、また下痢の状態といったことも、よく起こります。
すると、「大腸」による水分吸収の機能が失われ、たとえば下痢になっていては水分は余計に失われてしまうのです。
このとき、「大腸」に変わって水分吸収の役割をかって出るのが「小腸」です。
しかし、小腸のもともとの専門は「栄養の吸収」です。
そのため小腸では、栄養と一緒に水分を吸収できる、ということに過ぎません。
だから、単純な水では効果がないということになるわけです。
麦茶は、汗によって失われるナトリウムやカリウムといったミネラル類を含んでいます。
人間の身体というのは、とてもよくできています。
体内の水分が不足しているときに水をがぶ飲みしようとすると、血液がうすくなってしまうことを脳が警戒します。
そして、水分不足であるにもかかわらず、
一定のところで「水分OK」の信号を出して「嘘」をつく仕組み
も見つかっています。
ですから、ただの水をたくさん飲んで、ああもう喉も渇いていないや、と思ったところで、それは脳の嘘かもしれません。
実際には水分が足りておらず熱中症になってしまう、という例も起こります。
麦茶ならばそうしたことがなく、またよく言われるのは「カフェインを含んでいない」という利点です。
カフェインの効果にひとつに利尿作用があるため、カフェイン入りの飲料を体内に摂取したところで、おしっことして排出されてしまうのです。
トイレの話になったので、少しだけ付け加えておくと、夏場は特に、トイレに行ったときにおしっこの色を見てくださいね。
色がいつもより濃いなと思ったら、それは体内の水分不足の重要なサインです。
2種類のスポーツドリンクと「経口補給水」
さて、水より麦茶がいい、という話まで来ました。
しかし、科学が進むにつれて、小腸が水分を吸収するときには、ミネラル(塩分)といっしょに糖分があると吸収が早い、ということがわかりました。
そこでいわゆる「スポーツドリンク」というものが開発されてきました。
「スポーツドリンク」には2種類ある、という話はご存知ですか?
スポーツをする方やスポーツジムに通っている方なら、なんとなくわかる話かと思います。
その2種類とは、「アイソトニック飲料」と「ハイポトニック飲料」。
アイソトニック飲料の代表選手は、ポカリスエットやアクエリアスなど。
安静時に飲むと水分の吸収がうまくいくように、糖分を濃くしているのが特徴です。
これに対して、
スポーツジムのロビーの自販機にならんでいるような
「ハイポトニック飲料」
は運動中や運動直後に水分吸収がうまくいくように、
糖分の量が少なく調整されています。
汗をかくと血液の濃度が濃くなるため、濃度の薄いもの(しかし単純な「水」ではなくミネラルや糖分を含むもの)を摂取して、濃度調整をはかろうとするわけです。
汗をかいて水分が不足しているとき、つまりは血液が濃くなっているとき、2種類のスポーツドリンクのうち適しているのは「ハイポトニック飲料」です。
「アイソトニック飲料」が手元にあるならば、これを水で2~3倍に薄めると、代用が効きます。
ただし、スポーツドリンクは飲みやすい「味」を考慮したり、水分補給以外の効果(たとえばダイエットなど)を期待する成分が入っていたりします。
そのため、必ずしも水分補給が第一目的ではないところがあります。
ですから、熱中症などの緊急事態の際には特に、なによりもまず「水分補給」を考えた成分の「水」を摂取する必要があるといえます。
この「水」がすなわち「経口補水液」ということになります。
ドラッグストアや病院の売店で販売されている経口補給水は、厚生労働省が認可している製品のため、安心して使用することができます。
また、厚生労働省ホームページの中を検索していくと、この「経口補水液」を自分でつくる際のレシピも出てきます。
それによれば、効率的な水分補給をおこなうためのレシピ(割合)は、
水1リットル
食塩1~2g
砂糖大さじ2~4杯(20~40g)
ということになります。
この「経口補水液」、必ずしも熱中症になってから使用するものではありません。
汗をかいて水分不足が発生している状態でつかうことができます。
夏場の水分補給は「経口補水液」を使って効率的に、しっかりとおこなってください!
まとめ
きょうは「経口補給水」、そのつくり方のレシピ(割合)をご紹介しました。
「水分補給」をするために「水」を飲むだけではダメ、という話は、わたしも勉強になりました。
こういう勉強を、いざ熱中症になってからするのでは遅すぎます!
理屈とレシピがあることだけでも頭に留めておいていただけると、いざというときにきっと役に立つはずですよ!!
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