桜といえばソメイヨシノ(染井吉野)が有名ですが、今そのソメイヨシノが絶滅の危機にあることをご存じでしょうか?
日本の桜の7割~8割を占めるソメイヨシノですが、てんぐ巣病と呼ばれる伝染病に弱く、寿命も60年~80年程度と、その時代を終えようとしています。
そんなソメイヨシノの代替品種として注目されているのがジンダイアケボノ(神代曙)です。てんぐ巣病にも強く、寿命もソメイヨシノよりも長いと言われています。
今回はジンダイアケボノの由来や起源などについて紹介します。
ジンダイアケボノとは?
ジンダイアケボノとは、ソメイヨシノとは違うのか?なぜ、ジンダイアケボノという名前になったのか、由来や起源が気になります。
ジンダイアケボノ誕生までの簡単な流れ
1912年に日本からソメイヨシノがアメリカに送られました。そのソメイヨシノと別種の桜が交雑してできたのが、アメリカで「Akebono(アケボノ)」と呼ばれている品種です。
そのアケボノを日本の神代植物公園に逆輸入し、接ぎ木して育てたところ、1本がアケボノとは違う花を咲かせたのです。そしてそれは、アケボノとは違う品種であることが確認され、1991年にジンダイアケボノが新品種として登録されました。
簡単にまとめると、ジンダイアケボノはソメイヨシノの兄弟です。
アメリカに渡ったソメイヨシノも、それと交雑した桜も日本の桜で、アケボノは日本の桜であるといえます。そしてそれを逆輸入して接ぎ木した桜も日本の桜。
つまり、ジンダイアケボノは日本の桜の雑種です。
ソメイヨシノとジンダイアケボノの比較
ソメイヨシノとジンダイアケボノは、ほとんど同じ桜と言えます。開花時期が3月下旬から4月上旬、淡紅色の花を咲かせます。開花時期は少しだけジンダイアケボノの方が早い。
・大きな違い・・・てんぐ巣病
ソメイヨシノがてんぐ巣病にかかりやすいが、ジンダイアケボノはかかりにくい。てんぐ巣病は伝染性の病気であるため、すでにソメイヨシノの配布は2005年に中止され、2009年からは苗木の販売も中止になっています。そしてソメイヨシノに変わってジンダイアケボノの植え替えを推奨しています。
・親は同じ・・・エドヒガンとオオシマザクラを親にもつ交配種
ソメイヨシノもジンダイアケボノも親は同じなのです。だからこそ同じようにきれいな花を咲かせるのでしょう。
絶滅する?ソメイヨシノ
ソメイヨシノは、同じソメイヨシノ同士で種を作ることが出来ません。つまり、ソメイヨシノから種を採取しても、それはソメイヨシノとは別品種になります。
ですから、ソメイヨシノを増やすためには、接ぎ木や挿し木で増やすしかありません。
全て1本の原木からのクローン
ソメイヨシノの起源は、エドヒガンとオオシマザクラが交配して誕生したことはわかっています。そして、「元祖の1本は、東京の上野公園にあった」という研究結果があります。
その1本の木を接ぎ木して、どんどんクローンを作って現在のような見事なソメイヨシノの桜並木などがみられるようになったのです。
1本の原木からのクローンであるがゆえに、同じ時期に一斉に開花し、きれいな花を咲かせてくれるのです。
てんぐ巣病の脅威
ソメイヨシノはてんぐ巣病にかかりやすいために、絶滅の危機にさらされています。てんぐ病は伝染性の病気であるため、ソメイヨシノは今後どんどん少なくなっていくことが予想されます。
その代わりとして期待されているのがジンダイアケボノということになります。
世代交代と言えばいいのでしょうか?残念なことですが、おそらくソメイヨシノがみられるのも、あと何十年もないでしょう。
まとめ
今回はジンダイアケボノの由来や起源について紹介しました。ソメイヨシノの兄弟ということで同じような花を咲かせてくれています。
てんぐ巣病の脅威を考えると、今後はソメイヨシノに変わってジンダイアケボノが日本の桜の代表となっていくことでしょう。
これから桜を見る時には、ソメイヨシノ?ジンダイアケボノ?と、品種を気にしてみるのもいいかもしれませんね。
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