お子さんが小学3年生になって、あまりのある割り算が速く正確に出来ない。そんな悩みをお持ちの方はおられませんか?
「かけ算では困らなかったのに…」
「割り算に時間がかかって仕方がない。」
でも、実はその原因は、かけ算の九九にあるのです。九九が完璧にこなせていれば、割り算で困ることはないはずです。
「えっ、そんなことはないはず。九九はきちんと言えるし。」
実はそこに大きな落とし穴があります。九九が言えることと、完璧にこなすこととでは、同じように聞こえて全く違うのです。今回は、あまりのある割り算の練習方法について紹介します。
お子さんが小学3年生になる親御さんにおすすめの内容です。
九九がスラスラ言えますか?
まず初めに、かけ算の九九がスラスラ言えるか復習してみて下さい。
お子さんはたぶん、
「そんなの簡単、簡単!1×1=1、1×2=2、……、9×9=81」
「ほら簡単、楽勝だよ!」
というのではないでしょうか?でも、実はそれだけではダメなのです。それは単に呪文のように九九の表を暗唱したにすぎません。
ランダムに九九の練習をする
今度はお子さんに、「7×8=?」、「6×4=?」、などランダムに九九の問題を出し、それに反射的に即答できるか確認しましょう。これが出来ないと九九が完璧だとは言えません。
「7×8=?」、と聞かれて、少しの間黙ってしまったり、7×1=7、7×2=14、…とブツブツいっているようでは、まだまだ不十分です。
7×8=56と、即答出来るようになるまで練習をしましょう。
お子さんに口で問題を出してあげて練習しよう。ランダムに書かれた九九の計算をしてもいいよ。
九九の逆算に挑戦!
ランダムに出題する九九の計算と同じように、九九の逆算に即答できるかも試してみましょう。これは、ほとんど割り算をしているのと同じことになります。
問 □に当てはまる数を答えなさい。
① 8×□=72 ② 4×□=28
③ □×9=54 ④ □×7=49
このような問題です。割り算が速くできないのであれば、これが2秒以内に即答できないのではないでしょうか?
割り算のつまずきは九九に原因がある!
割り算に時間がかかるのは、九九に原因があると思って間違いありません。
確かに九九の表を暗唱できれば、九九を間違えることはないかもしれません。ただ、それだけではダメなのです。
先ほどの例のような、ランダムに並べられた九九の問題。そして、九九の逆算の問題に即答できなければ、九九を完璧にマスターしたとは言えないのです。
まずは、九九を徹底的に復習することが必要です。
割り算のつまずきは、かけ算に原因あり!
これは、割る数が2桁以上の割り算の場合も同じです。かけ算をマスターすれば、割り算は難しくはありません。逆に言えば、かけ算が速く正確に出来ないうちは、割り算を速く正確にすることは絶対に出来ないのです。
割り算を速くするためには、かけ算を練習するのが大切だよ。
割り算の練習
あまりのある割り算につまずくお子さんは、あまりのない(割り切れる)割り算もまだ不十分であることがほとんどです。まずは、割り切れる割り算を徹底的に復習しましょう。
割り算の問題に反射的に答えが出るようにする
「42÷6=?」、「30÷5=?」、…これもランダムに出された問題に2秒以内に即答できるまで練習させましょう。
九九と九九の逆算が出来るようになっていれば、そんなに難しくないはずです。
これで、割り切れる割り算も大丈夫です。
あまりのある割り算の練習をする前に
九九の練習、九九の逆算の練習、割り切れる割り算の練習。これらすべてを2秒以内に即答できるようになっているでしょうか?もう一度確認しておきましょう。焦る必要はありません。
あまりのある割り算でつまずくお子さんは、この練習がほとんどできていないからです。反射的に答えが出るようになるまで何度も練習する必要があります。
「うちの子は算数が苦手で、出来る子とは頭のできが違うのよ。」
もしかすると、そんなことを思っていませんか。しかしそれは大きな間違いです。計算の出来る子と出来ない子の違いは、練習量の違いだけです。今は、昔と比べると学校で勉強する計算問題の量が圧倒的に少なくなっています。ですから、計算が苦手なお子さんには、家での練習も必要なのです。
計算問題は練習すればするほど、速く正確に解けるようになります。毎日5分の計算練習をお子さんと一緒にやってみませんか。
我が家では、家で宿題をしたあとに「はい!九九を言って!」
「1×1=1、1×2=2、……、9×9=81」
じゃあ、「7×6=?」、「40÷5=?」、「3×9=?」と次々と口で問題を出しては答えさせる練習をしていました。ほんの数分ですが、毎日繰り返していましたよ。
時間がかかっても正解できるから大丈夫、と次の単元に進んでしまうともっと時間がかかるようになるのです。それがあまりのある割り算です。
あまりのある割り算でつまずくお子さんは、あまりのある割り算がわからないのではなく、九九や割り切れる割り算が完璧でないのです。
毎日数分間だけ、九九や割り切れる割り算の問題を、口で質問して答えさせる練習を親子で一緒にやってみるのがいいですよ。
あまりのある割り算の教え方
九九、九九の逆算、あまりのない割り算。これらが速く正確に出来るようになった後は、いよいよあまりのある割り算の練習に入ります。まずは考え方から教えてあげましょう。
あまりの考え方を理解する
割り切れる割り算と違い、あまりのある割り算では、まずあまりについて教える必要があります。
一番簡単なのは、おはじきや図を使って説明する方法です。
問 14個のおはじきがあります。4個ずつ分けていくとどうなりますか?
これがあまりの考え方の基本です。
答えは、3組に分けられて2個のおはじきがあまる
そしてこれを見ると、あと2個おはじきがあればもう1組出来ることもわかります。
これを式で表すと、14÷4=3 あまり 2 となることを教えてください。
あまりのある割り算には九九を使う
14個のおはじきを4個ずつに分けていく、つまり14÷4 の計算をするときには4の段の九九を使うことを教えましょう。
4×1=4
4×2=8
4×3=12 おはじきは足りる
4×4=16 おばじきが足りない
かける数が4になると14個のおはじきではたりなくなり、16個のおはじきが必要になります。その場合、おはじきが足りなくなる直前のかける数3が答えになり、その時おはじきは12個必要です。
だから残るおはじきの数は、14-12=2 で 2個 となります。
このようにあまりのある割り算の計算には九九を使うことを教えます。使う九九の段は、分ける数、割る数の段の九九であることも教えます。
割られる数より答えが大きくならない割る数が、答えとなります。
問 47÷6= ← 6の段の九九を使う
6×7=42 → 割られる数より小さい
6×8=48 → 割られる数より大きい
だから答えは7、あまりは47-42=5 です。
47÷6を教える時には、次のように順に質問していきます。
- まず、何の段の九九を使う? → 6の段
- 47より小さい6の段の九九で一番大きい数は? → 6×7=42
- じゃあ、あまりは? → 47-42=5
このような流れで教えてあげるといいでしょう。
割る数の段の九九を使う
あまりのない割り算と同じように、答えを探すときには割る数の段の九九を使うことを教えましょう。
24÷5=(5の段)
39÷8=(8の段)
そして、答えが割る数より大きくならない、一番大きな数かける数が答えになることを教えましょう。
問 24÷5= (5の段)
5×4=20 ○
5×5=25 × だから答えは4
そしてあまりは、24-20=4
つまり、答えは4あまり4です。
ここまで説明すれば、後は練習を繰り返すだけです。
割り算にはかけ算(九九)を使う
今までのことからわかるように、割り算にはかけ算(九九)を使います。だからこそ、あまりのある割り算をする前には、九九をマスターする必要があるのです。
しかも、ただ九九の表を暗唱するだけでなく、ランダムに出された問題に即答できるようになっておく必要があるのです。
ご家庭でも、九九や割り算をお子さんに口で質問して答えさせる練習をさせてあげて下さいね。
まとめ
今回は、あまりのある割り算の教え方について紹介しました。
あまりのある割り算を練習する前には、必ず九九を速く正確に答えられるようになる必要があります。
割り算には、かけ算(九九)を使う
このことは、割る数が2桁や3桁になっても変わりません。
計算問題は練習すればするほど、速く正確に解けるようになります。
小学校の低学年の九九の計算を使う時は、宿題をしたあとにお子さんに口で問題を出してあげるのがいいでしょう。1日5分もすれば十分です。そうすれば、親子のコミュニケーションも取ることが出来ますし、一石二鳥の効果があります。
毎日少しずつ継続して練習することで、見違えるように計算が、そして算数が出来るようになることでしょう。
継続は力なり
原点に帰って、親子一緒に九九の練習から始めてみるのはいかがでしょうか。
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