私立中学の受験で合格するために絶対に必要なことと言われると、何を思い浮かべられますか?
いろいろと思い浮かびますね。でも、私の答えはいつも1つだけです。
子供の努力、当然必要ですが私の答えとは違うのです。
算数の力、これも必要ですが違います。他にも、強い精神力や忍耐力などを挙げられる方もおられるでしょう。
おそらくすべて必要なことだとは思いますが、私の答えは、
親の協力です。
それは、精神面でも勉強面でも、そして経済的な面などすべてにおいてです。
今回は、まだ幼いお子さんが私立中学受験で合格するために、親がどのようにサポートするべきなのかについて、私の考えを中心に紹介します。
中学受験をするのはお子さんですが、それを支える親御さんの役目はとても大きいものがあるんです。
精神面での親の支え
中学受験の勉強を始める、小学4年生か5年生から毎日何時間も勉強し、塾のある日は弁当持参で、家族と一緒に食事をすることも出来ずに夜遅くまで勉強する。
周りの友だちが遊んでいるときにも、塾があるので一緒に遊べない。
勉強内容が難しくてなかなか理解できない上に、毎週のようにテスト、テストで追い詰められる。
本当に毎日頑張るお子さんには、感心することばかりです。しかし、まだ幼い小学生かかる精神的な負担は相当なものだと思いませんか。
「もう嫌だー!」
「中学受験なんてやめてやる!」
そう言いたくなるお子さんの気持ちもわかりますよね。そんな時に一番の助けになるのは、やはり親の存在ではないでしょうか?
当然、塾の先生や同じように中学受験をする仲間の存在も大きいでしょう。しかし、中学受験は親子が二人三脚で取り組むものです。親御さんの強い思いだけでも、お子さんの学力だけでも合格を勝ち取ることは難しいでしょう。
テストの結果で怒らず、取り組みを褒める
塾では毎週のようにテストが実施されます。親として、その結果に一喜一憂するのは当然のことだと思います。しかし、テストの結果を一番気にしているのは、テストを受けた本人ではないでしょうか。
褒めたり、励ましたりすることはあっても絶対に怒ってはいけません。
テストを真面目に受けない生徒はいません。誰もが全力で、自分の力を出し切ってテストに臨むのです。その結果に一番ショックを受けるのは誰でしょうか?
それを、
「こんな点数じゃ合格できないでしょ!真面目に勉強してるの!」
「何のために塾に通ってるの!」
と頭ごなしに怒っては、必死で頑張っているお子さんの立場がありません。
私は学習塾の講師をしているときに、テストに臨む取り組みや姿勢を怒ることはあっても、テストの結果だけで怒ることは絶対にしませんでした。
というよりは、しないように心掛けていました。
塾でも怒られ、家でも怒られ、そうするとどんどんお子さんが追い詰められるからです。自分は毎日毎日、一生懸命勉強しているのに成績が伸びない。一番つらいのは間違いなくお子さんなのです。
結果や点数だけではなく、何が足りなかったのか?とういうことを常に考えさせるように指導していました。結果はあくまで結果。その結果から何かを学び、その単元の復習や次のテストにつなげていく必要があるのです。
お子さんに期待する気持ちは痛いほどわかります。
だからこそ、お子さんの勉強に対する姿勢や取り組みを褒めてあげて下さい。テストの結果について怒るよりも、何倍も学習意欲が高まると思いますよ。
怒るのではなく、出来るだけ褒めることでお子さんをやる気にさせてあげましょう。
子供の話を真剣に聞いてあげる
毎日毎日勉強漬け、夜遅くまで学校と塾で休む暇もない。
中学受験を経験した生徒は、大人になった時に、
「小学生のあの時が一番勉強してたわ。」
「ほんま毎日ずっと勉強してた。」
と誰もが口にするくらいです。そんな状態のお子さんの話を、真剣に聞いてあげていますか?勉強、勉強といつも話の内容が勉強だけになっていませんか?
本当は私立中学受験をしたくない。学習塾の講師をしているときに、こんな相談をしてくる生徒も少なくありませんでした。
私は納得いくまで話をします。とことん聞き役に徹して、不満や不安をぶつけてもらいます。
そしてその後でもう一度、頑張ってみようと思ってくれるように話をするのです。また、生徒から相談してくる場合は、親にその話を伝えていいかどうかを確認します。
「言わんとって!」、「お母さんに言っても怒られるだけだから…」、子供なりに親を不安にさせたくないと思っている生徒ばかりです。
親には言えない悩みがあるのかもしれません。それでも、家庭では勉強以外に学校の話題や友達の話など、何でも話し合える環境を作ってあげて下さい。時には勉強を忘れて、遊びに連れて行ってあげて下さい。
まだ小学生、一人で悩みを抱え込んでしまうと、勉強にも身が入りません。お子さんの些細な話にも耳を傾け、お子さんの一番の相談相手、そして一番の理解者になってあげて下さい。
受験のプレッシャーを和らげる
受験前になると親子ともにピリピリした雰囲気が伝わってきます。塾でも今まで以上に緊張した雰囲気で授業に臨む生徒が多くなります。
そんな時に気になるのが、いつも以上に落ち着きのなくなる生徒。
やたらと周りを気にする
妙にハイテンションになる
自分が出来たことをアピールする
こんな状況になる生徒は、とても危険です。受験のプレッシャーで自分が押しつぶされそうになっているのです。だから周りの友達が気になって仕方がないのです。
そんな時は、決まって親も同じように神経質になっています。そして私は、親と面談してじっくり話をします。
こんな時に、親が落ち着かないでどうする。
それが結果的に、子供を落ち着かせることにつながるからです。
受験前にプレッシャーがかかるのは当然のことです。そんな時だからこそ、お子さんの精神的な支えになってほしいのです。
思うように成績が伸びない、志望校がD判定など、受験を目前に控えてお子さんが浮足立つ時だからこそ、親にはどっしりと構えて欲しいと思います。親がテストの結果や受験に対して冷静でいられる家庭は、お子さんも安心して勉強に臨めます。
まだ幼いお子さんにとって、精神的な支えとなってくれる親の存在は、何よりも安心できるものですよ。
勉強面での支え
私立中学受験の勉強は本当に難しいため、塾の授業だけでは理解できないこともあります。そのため塾では、居残り補習、質問タイムの時間を設定しています。
それでもまだ授業がわからない、宿題が解けないというのが現実なのです。
塾の教え方で教える
算数の勉強で、中学受験の問題では当然ですが方程式は使いません。ですから、勉強を教えるとなると、親もかなり勉強しないと教えることが出来ません。
お子さんの塾の教科書やノートを読み、塾で教えてもらっている方法で教えてあげて下さい。方程式などを使って独自の方法で教えてしまうと、かえってお子さんは混乱することになるので注意しましょう。お子さんの目を気にせず、答えをしっかり読んで教えるのが一番です。
子供の勉強を親がみる。
何のために塾に通わせているのかと思いたくなりますが、「わからないことは塾で聞いてきなさい!」だけでは解決しないのが現実なのです。そして、お子さんも話をすることだけでも安心できる親のサポートを必要としているのです。
目の届くところで勉強させる
お子さんを勉強させる時には、目の届くところでさせるようにしましょう。これは、中学受験をする小学生だけでなくても大切なことです。たとえ、自分の部屋があったとしても、お子さんの様子を見てあげましょう。
「部屋にこもって、何をやっているかわからない」
「時間だけは、長く勉強しているみたいだけど…」
これでは、勉強に対して励ましてあげることも出来ません。難しい問題で止まって進まなくなってしまったり、勉強しているようで、ただぼーっとしているだけだった、ということもよくある話です。
目の届くところで勉強させていれば、わからない問題で困っているときにアドバイスをしてあげたり、気分転換をさせてあげることも出来ます。
飛ばす問題も必要!
問題の中には、お子さんのレベルに合っていない非常に難しい問題もあります。そんな時には、無理して教えることをせず、その問題は飛ばして勉強するようにアドバイスをしてあげて下さい。
「宿題は全部やらなくてはいけない」という固定観念は捨てて下さい。
成績を伸ばす勉強方法は、1問でも多く解ける問題を増やすこと。
答えを見てもわからない問題に無駄な時間を使わず、解けそうで解けなかった問題を徹底的に練習することです。
基礎をしっかりと固めてから少しずつ応用問題へと取り組む。計算問題もおろそかにせずきちんとする。当たり前のように思えても、子供には理解できていないことがたくさんあります。
たとえ勉強を教えることが出来なくても、親がそばにいるだけでお子さんはやる気になり、集中して勉強に取り組めるのです。
経済的な面での支え
私立中学受験の塾に、小学4年生から通わせると単純に約250万円の費用が掛かります。場合によっては、別途オプション講座や合宿、個別指導などの費用も必要です。
経済的な面で支えるというのは、そのお金をきちんと支払ってください、ということだけではありません。
テストの結果が悪かったことで親子喧嘩になった。よくあることです。しかし、どれだけ腹が立っても、
「何のために高いお金払って塾に行かせていると思っているの!」
「どれだけお金がかかてると思ってるの!」
などのお金に関する言葉は、絶対に口にしてはいけません。
塾に通うことに高い授業料が必要なことは、小学生でもわかっています。
それを親が負担することを、当然のことのように思っているお子さんならば、お金に関しての話をする必要があるかもしれません。しかしそれは、落ち着いて話せる状態にある時です。
お金のことを話題にして、責めることはやめて下さい。その言葉がお子さんを一番傷つけ、不要なプレッシャーを与えることになるのです。経済的な面での支えというのは、お子さんにお金のことで余計な心配をかけないように配慮するという意味です。
確かに私立中学受験に必要なお金は、相当な額です。進学した後も学費や交通費など、地元の公立校に進むのとは比較できません。
「高いお金出して…」思わず口に出してしまいたくなりますが、それを話題にするのであれば、中学受験を考える以前にきちんと話をしておくべきことでしょう。
いざ受験をすることを決めたのであれば、お金の話はお子さんの前では出来るだけしないようにしてほしいと思います。
お子さんにお金の話をするのは、中学受験をするかどうかを決める時に終わらせておきましょう。
まとめ
今回は私立中学受験で合格するために必要なこととして、親の協力について紹介しました。
私立中学受験には、親子が二人三脚となって臨む必要があります。どちらか一方だけが頑張っても、合格を勝ち取ることは出来ないのです。
精神面での支えや勉強面で支えていくことは、現実には難しいことも多いと思います。それでも、まだ幼いお子さんの心の支えとなれるように、うまくサポートしてあげて下さい。
また、私立中学を受験し、進学するためには多額の費用が必要です。
そして、それだけの費用をかけても、第一志望の学校にはなかなか合格できない現実があることは忘れてはいけません。中学受験で第一志望校に合格できるのは3人に1人とも4人に1人ともいわれているのです。
現実は本当に厳しいのです…。
たとえ第二、第三志望校に進学することになっても、お子さんの「合格」という結果を素直に喜んで欲しい。頑張った自分の子供を、心から褒めて欲しいと思います。これは、お子さんが明るく新たな中学生活を送るための精神的な支えにもなります。
私立中学受験は家族全体を巻き込んだ戦いです。ときには喧嘩することもあるでしょうし、やめたくなることもあるでしょう。
その困難に打ち勝ってこそ、合格の栄光を手にすることが出来るのです。
あまりプレッシャーを与えることなく、うまく子供を褒め、励ましながら受験勉強を乗り越えていきたいものですね。
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